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​睡眠時無呼吸症候群

いびきが激しく寝ているときに呼吸が止まっていると指摘されることはありませんか。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS: sleep apnea syndrome)は、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気です。原因として上気道が狭くなる閉塞型と、呼吸中枢から呼吸筋への指令が途絶して、胸郭の動きが無くなり呼吸が停止する中枢型、無呼吸時に中枢型から閉塞型に移行する混合型があります。多くは閉塞型です。閉塞の機序としては、舌根(舌の付け根)や軟口蓋(口の上の壁で後方の軟らかい部分)が睡眠中(特に仰向けの姿勢で寝ているとき)喉の筋肉の緊張が緩み、重力の影響で落ち込んで喉〜上気道を塞いでしまうことで起こります。特に肥満者は首周りに脂肪沈着が起こり、閉塞が起こりやすくなりますが、非肥満者にも起こります。無呼吸を繰り返すことによって十分な深い睡眠が得られず、昼間の眠気を来したり、夜間覚醒したり、起床時の頭痛などの症状来します。昼間の眠気は交通事故や労働災害をもたらすこともあります。またさまざまな合併症があり、高血圧や脳卒中、心筋梗塞、不整脈を引き起こすリスクが健康な人の3〜4倍。重症になると長期生存率の低下も指摘されています。

 

■ 診断

問診にて無呼吸や睡眠の質の低下による日中の症状や生活、仕事への影響などを評価し、また高血圧などの合併の有無を調べます。睡眠時無呼吸症候群が強く疑われる場合は簡易型検査を行います。鼻腔の気流と酸素飽和度を測定する携帯用のモニターをお貸しして、自宅で装着して睡眠中の呼吸状態をモニターして検査します。

1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であり、かつ上記の症状を伴う際に睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断します。

重症度

AHIが5〜15が軽症、15〜30が中等症、30以上が重症

 
■ 治療
  • 軽症の場合は生活習慣の改善を行います。肥満のある方は適正体重にします。飲酒はひかえめにします。眠気などの症状を伴う場合はマウスピース療法の適応につき検討します。

  • 簡易型検査で、AHIが20〜40の場合は睡眠時ポリソムノグラフィー検査(PSG)をお勧めします。一泊入院で行う検査のため専門施設へご紹介となります。

  • PSGでAHI 20以上で症状がある場合はシーパップ療法の適応です。

  • 簡易検査でAHI 40以上の場合はシーパップ療法の適応です。手術を希望される場合は専門施設にご紹介します。

 

シーパップ(CPAP)療法

睡眠時無呼吸症候群の治療法の中で最も有効性が高く安全な方法が持続陽圧呼吸(CPAP:continuous positive airway pressure)療法です。マスクを装着して就寝します。マスクから空気が一定圧で送り込まれることによって気道が狭くなるのを防ぎます。シーパップの機械はレンタルして自宅で使用します(保険適応)。

 

マウスピース療法

下顎は小さい方で、軽症が治療対象です。マウスピースを入れて下顎を前方にずらして気道狭窄を改善する方法です。

 

外科的治療
  • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術

口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋(口腔の上壁後方のやわらかい部分)の一部を切除し、気道を広げる。

  • アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術

小児ではアデノイド、口蓋扁桃肥大がよく原因となります。

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