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​ヘリコバクター・ピロリ外来

ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜に生息し、様々な病気の発症に関与している細菌です。乳幼児期に感染するとそのまま胃内にとどまり、慢性胃炎を引き起こします。この慢性炎症の状態が何十年という経過で持続することにより、胃の粘膜は次第に痩せていき(萎縮性胃炎)、胃酸などを分泌する細胞も失われて胃の本来の機能も低下していきます。胃、十二指腸潰瘍の発症や、さらには胃癌の発症にも関係していると考えられています。そのため、このヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は除菌治療をすることが推奨されています。その他、ピロリ菌はMALTリンパ腫、特発性血小板減少症性紫斑病、鉄欠乏性貧血、慢性蕁麻疹などの疾患の発症にも関与していると考えられています。

 

胃がんリスク検診で要精査(B,C,D群)となった方

まず胃カメラで胃炎の状態を評価したり、すでに胃がんがないか調べます。その後、B、C群は除菌治療行います。D群は萎縮性胃炎が進行してピロリ菌が棲めなくなった状態です。すでにピロリ菌はいないので除菌治療はしません。胃がんのリスクが非常に高いので胃カメラによる経過観察が重要となります。

 

除菌治療

アモキシシリン、クラリスロマイシン、ボノプラザ(タケキャブ)の3種類の薬を1週間内服します。この治療で9割以上の方が除菌成功します。除菌が不成功だった方は2次除菌としてクラリスロマイシンをメトロニダゾールに変えて除菌治療を行います。2次除菌までが保険適応となります。2次除菌で失敗した方はそのまま経過観察するか、自費診療で3次除菌を行うこともできます。

 

ピロリ菌感染者の8%くらいの人が胃がんを発症すると言われていますが、一方でピロリ菌非感染者で胃がんを発症する人は非常に少ないことがわかっています。またピロリ菌を除菌すると発癌のリスクは1/3になるとの報告があります。除菌成功された方は胃がんになる可能性は低くなりますが、その後も定期的に胃カメラで経過観察をする必要があります。胃がんは早期に発見されれば内視鏡的治療(内視鏡的粘膜切除術や粘膜下層剥離術)にて切除することができます。

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